オンナゴコロのくすぐりドコロ 第7回:n o t e
昨年末から、noteというサービスがウェブ業界でちょっとした話題を呼んでいます。noteは文章、写真、イラスト、音楽、映像などを手軽に投稿できるクリエイターとサポーターを結び付けるためのサービス。他のサービスと違って注目を浴びているポイントは、それらの自前コンテンツを自分で販売できるところです。
文章はブログ、動画はYouTubeといったツールがすでにありますが、プラットフォームがバラバラだと、文章、動画、写真…と形態が変わるごとに、そちらのアカウントをフォローしてもらわなくてはならない煩雑さがあります。
noteの場合はそれらを一つのアカウントで管理できるので、クリエイターにとってはファンとの接触回数を高めて、漏れなく情報を受け取ってもらうために適したツールです。
noteがウェブ業界のクリエイターを魅了する理由は多々ありますが、やはり「自分の力で稼げる」というのは重要なポイント。これまで、作家の作品の価値は、編集者やマネージャーによって、決められていました。原稿料を自分で決められる作家なんていなかったんです。けれど、noteは自分が作ったものをいくらで売るかが自分で決められます。これはクリエイターにとって、自分の市場価値を自分で把握出来る機会になると同時に、「プライシング」能力を高める機会になっています。クリエイターは、これまで仲介業者がやってきてくれていた「いくらなら売れるか」という判断を自分でする機会が得られたのです。これは、将来的に大いなる力になると思います。
そして、noteはブログなどより距離感の近いSNS的な要素を併せ持つことによって、コンテンツの閲覧・視聴をただの閲覧・視聴ではなく「体験」化したように思います。この「体験」感は今後のビジネスのキモ。美容室を例にとれば、美容室でただ「髪を切る」だけの時代は終わり、髪を切る・パーマするなど以外で、ホームケア、アレンジの提案などで「体験」の幅が広がることが、顧客と美容室との絆を深めていく。アーティストがCD、アルバム、ライブ、YouTube、テレビ、雑誌…とコンタクトポイントをたくさん持つように提供できるコンテンツの形態やコンタクトポイントを個人クリエイターもどんどん広げていかなくてはいけない時代。noteを触っているとそういった気づきを日々得ます。
人を魅了している最新ツールには、領域は違っても、ビジネスのヒントがたくさんあります。自分とは関係ないこととしてスルーせずに、まずは一度触ってみて、それらの流行っている理由を考察することが、自分のビジネスをいちはやく進化させる一歩になるかもしれません。