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アイディアのレシピ -身近な人を喜ばせる-

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広告会社時代、些細なことに全力をかける社風がありました。例えば結婚式ビデオを制作会社の助けを借りて作ったり、部署の月例会の社内ポスター制作に何時間もかけたり、歓送迎会で凝ったサプライズを主役のために用意したり。このご時世では「そういうことの積み重ねが労働時間を伸ばしているのだ」と批判されかねませんが、私は「些細なことに凝る」社風が好きでした。その根底にあったのは「身近な人の心を動かさないで、世の中を動かせるだろうか」という思想。一人の心を動かせない人が、大勢の心なんて到底動かせないんです。その訓練が、会社では日々なされていたように思います。

だから、面白い企画をいつか手掛けてみたいと思うなら、まずは身近な誰かの一日を面白くすることから始めてみてください。最近とある友人は「3000円以内で誰か一番面白いものをあげられるか」というルールで誕生日会を行ったそうです。シンプルなルールですが、シンプルだからこそ、どれだけ参加者が本気かということが企画の肝になってきます。その会は、それぞれがいかに自分のプレゼントが優れているかという主役へのプレゼン合戦になり、たいそう盛り上がったとか。大人の本気は最高のエンターテイメントですね。「予算がない中で相手をいかに喜ばせるか」というのは本番の仕事でも生かせるスキル。普段からこんな訓練をして頭を柔らかくしておけば当然有利になります。

わざわざパーティーを開催しなくたって、誰かの一日を楽しくさせる方法はたくさんあります。旅に行く友人に、旅先のオススメのレストランの一覧を送ってあげる。風邪をひいているとSNSに書き込んでいた友人に、栄養のあるご飯を届ける。ストーリーのあるお土産を手書きのメッセージカードと共に渡す。相手を笑わせるニュースをラインで届ける……そんなことが自然に出来る人は、広告会社に勤めていなくたって立派なクリエイターです。

何もかもおぜん立てされていないと、あるいは何かわかりやすい利益が用意されていないと頭を働かせて「企画」なんて出来ない、という人は発想を広げる機会を失っています。普段から、自分はアイディアで人を楽しませるんだ、誰かの一日を変えるんだ、という意識で暮らしていると、その人に関わる全てのことは企画になります。そういう人が、本当に多くの人を動かす企画をいつか世の中に届けるのだと私は信じています。