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大人女性にとって、 サロンはどんな場所?(最終回)

佐藤友美(元・増田ゆみ)の40代からのオトナ女性研究所
『美容師が知っておきたい50の数字』(女性モード社)の続編、『美容師が知っておきたい54の真実』が2月25日に発売になりました。
事前に告知したチラシにも掲載されたページなので、書籍が出る前からいろんな美容師さんとの間で話題になったことなのですが、ここ数年で、お客さまの来店頻度がどんどん低くなっているそうです。
2014年の調査では年間のヘアサロン利用回数が3回以下の女性が全体の約6割にものぼっています(リクルート ビューティ総研調べ)。これはひょっとしたらサロンの方々が感じている実感値とは離れているかもしれません。が、この調査は全国の女性にアンケートしたもので、統計調査としてはブレが出ないと言われている数千人規模のものなので、これが現実的な数字なのだ……と感じます。残念ながら。
年に3回ということは4ヶ月に1度の利用です。4ヶ月に1回程度から、もっと間があいてしまっている人の人数が約6割というのは、サロンがすでに日常使いされていないということを示していると思います。この割合は、大人女性でもあまり変わらず、サロン離れの危険性を感じます。

大人女性は、自分のためだけに時間やお金を使えない世代とも言えます。仕事や子育て、家事や介護。ライフイベントもたくさんあり、めまぐるしい毎日を過ごしている人も多いと思います。
いま、ヘアサロンがライバルにするべきは、隣のヘアサロンではなく、ヘア業界以外の他業種に、大人女性の興味関心がうつってしまっていることなのではないでしょうか。
以前はヘアサロンに年に1回しかいかない女性は、美容や身だしなみに気を使わない人だったかもしれません。けれども、いまの女性たちはヘアサロンに年1回しかいかなくても、ヨガ教室には毎週通っていたり、有機野菜を手にいれるためにファーマーズマーケットに行ったり、美顔器で毎晩ホームエステをしていたりします。

大人女性にとって有限な時間と予算。当然、興味、関心が薄くなるものから、かける時間もお金も差し引かれていきます。
いつまでも大人女性がヘアに興味を持ち、ヘアを整えることが、「ヨガに通ったり」「有機野菜を食べたり」「ホームエステをしたり」することと同様に(もしくはそれ以上に)、良き人生につながるのだということを啓蒙していくことも、今後は重要になっていくと感じます。

ライバルは、隣の店ではありません。いま、私たちは大人女性の限られた24時間365日を、あらゆる異業種の魅力的な提案と取り合っているのだな、と感じます。ヘア業界が大人女性のためにできる魅力的な提案を、もっと声を大きくして伝えていく必要があるかもしれません。

※『40代からのオトナ女性研究所』は今回が最終回。次回から新連載『女性美容師がサロンをつよくする』がスタート。是非、ご期待ください。