髪を切ることを通じて、あなたのサロンが伝えたいメッセージは何ですか?
突然ですが、この動画を見て欲しいんです。
これは、今年の広告電通賞Webムービー部門最優秀賞を受賞したCMです。
そして、このコラムを読んでくださっている人たちは男性も多いと思うので、こちらもぜひ。
さて、このCMを制作したのはライオンというメーカーの商品「クリニカ」のチームです。ですが、商品名を連呼するわけでもなく、商品の効用を解説するわけでもなく、「歯磨きを通して健康になってほしい。家族が幸せになってほしい」というメッセージだけが発信されています。
このCMを見た時、私たちは「自分の家も同じような感じだなあ」とか、「そうか、歯磨きって家族のコミュニュケーションの時間にもなるのか」とか、「こんなふうに私たちの毎日に寄り添ってくれるライオンっていい会社だな」とか、そんなことを考えるのではないでしょうか。
これはつまり、ライオンという会社が、私たちにとって
「歯ブラシや歯磨き粉を売っている会社」ではなく
「歯磨きという行為を通じて家族の幸せを願っている会社」に変わったということです。
これから歯ブラシを買う時は、ライオンの商品にしようかな。そんなことを考えるようになるかもしれません。
「その会社や商品が目指したい世界観(もっといい世の中になって欲しいと思っている)を知ることで、気づけばファンになってしまう」。
この感覚は、みなさん、なんとなく共感していただけるのではないかと思います。
ところが。
客としてはそのように考える私たちも、いざ「商品の良さを伝える側」になった時は、どうでしょうか。
みなさんは、顧客の立場に立って、メッセージを発信できていますか?
例えば
「うちのカット技術はここがすごいです」
「新しいカラー剤入りました」
「こんなヘアスタイルを作っています」
などの効果効用を伝えるだけになってはいないでしょうか。
例えば
集客サイトにたくさん並べたヘアスタイルは、自己満足になっていませんか。それは、本当にお客さまの心に届いているでしょうか。
「こんな可愛いスタイルが作れますよ」
というだけの押し付けアピールになっていないでしょうか。
本来、そのヘアスタイル写真を通じて伝えなくてはならないことは、「(このモデルさんにこの髪型が似合っているように)私たちは、あなたのために一番似合う髪型を見つけ出すことができます」というメッセージなのではないでしょうか。
「自分たちが顧客に伝えるべきメッセージって何?」と悩んでしまう人は、今一度思い出してみてください。
みなさんが、美容師になった理由は何でしょう。ヘアスタイルをデザインすることで、お客さまに伝えたいことは何でしょうか。
例えばそれは
「素敵なヘアスタイルを手に入れることで自分に自信を持って欲しい」
かもしれません。
「昔、自分が髪を切ってもらって、人生が変わった経験がある」
かもしれません。
みなさんは、何を実現するために美容師になり、何を実現するためにヘアスタイルを提供していますか。
その原点に戻ってみれば、おのずとお客さまに伝えるべきメッセージは見えてくるのではないでしょうか。
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6/11(月)に、『ファンベース』の著者である、佐藤尚之さんを福岡にお呼びして「美容業界でファンベースを考える」トークイベントをしていただきます。私も司会で参加しますので、ぜひいらしてください。
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