【サロンのための美髪と経営コラム】縮毛矯正の重要な4つのポイント 第一部「還元」
サロンさまからのご質問で多いのが、縮毛矯正についてです。
奥が深い技術なので苦手な方も多いようですが、皆さんはいかがですか?
縮毛矯正のポイントは「還元」「酸化」「水抜き」「熱置き」この4つです。
この4つのポイントを今回から三部の連載にして(第一部「還元」、第二部「酸化」、第三部「水抜き」「熱置き」)見ていきたいと思います。
今回は、第一部「還元」についてです。
INDEX
還元(1剤)のポイント
理美容業界で還元とは1剤でSS結合を切ることですが、この時大切なのは、髪に適した1剤をしっかり塗布し、きちんと放置することです。
1剤の失敗で多いのが「還元不足」と「過還元(還元し過ぎ)」だと思います。
まず「還元不足」ですが、施術中に還元不足と感じた場合、そのままアイロンで頑張って伸ばそうとするケースが多いのではないでしょうか?
しかしこの場合、強いアイロンダメージを与えたり、施術後にクセが戻ることもあります。
手直しとなれば時間も材料代も労力も倍かかることになり、ダメージもさらに進みます。
軟化チェックで還元不足を感じた場合は潔く、すすぎなどで1剤を取り除き、再塗布したほうが良いかと思います。
また、アイロン前のドライ時に還元不足と感じた場合は、この時もやはり1剤の再塗布がベターですが、それ以外の応急処置の例として、①再度シャンプー台でしっかりとウェットにして ②タオルドライ状態からツインブラシなどで丁寧にブローを行い ③ブローで乾いた髪にアイロンを行います。
第三部で詳しくお話しますが、この時のポイントは「ブローでクセをまっすぐに伸ばし、アイロンの熱でその形を固定する」です。
アルカリ1剤の落とし穴
過還元(還元し過ぎ)の話に移る前に、大切なアルカリ膨潤と軟化チェックの関係についてお話します。
まず「軟化チェックの時、軟化してたんだけど、伸びがあまかったな~」という経験はないですか?
軟化チェックでは❛髪がどの程度やわらかくなったか❜などを確認しますが、髪がやわらかくなるのは、本当に還元されたからでしょうか?実はアルカリ膨潤の影響も大きくて、そのため還元が不十分でも軟化したかのように感じてしまうことがあります。
特に注意が必要なのは、時短のためと必要以上に強い(高アルカリ)1剤を使い、放置時間を短くする場合です。
軟化チェックが難しくなり、また、時短を狙う急ぐ気持ちがミスを招きやすくなります。
軟化チェックについて
さまざまある軟化チェックの方法の中で、これが絶対確実!と言えるものはなく、また技術者によってやりやすい方法も違うと思います。
私は美容師時代にセミナー講師や、全国の美容師さんと情報交換などをしてきましたが、そこで感じたのは、まさに軟化チェックも技術であり、皆さんそれぞれの方法でそれを磨くことが一番だと思います。
ちなみに私は引っ張り派です。ポイントは必ず素手でやることです。ゴム手袋では髪をつかみやすいためテンションがかかりやすく、チェックの精度が落ちると感じています。
これがたくさんの経験・失敗から得た方法です。
過還元(還元し過ぎ)させてしまった時の対応
皆さんは、過還元させてしまった経験は無いでしょうか?
私は若かりし頃、大変なことをしてしまった経験があります。それがきっかけで、本気で髪や薬剤やお客さまの心理などを学びました。そして、そのような経験をして欲しくないという思いで、それらの大切さを伝える活動をさせていただいています。
まず基本的に、過還元した髪への対応はとても難しいのですが、過還元に気づいたのが1剤放置中であれば、すぐに1剤をすすぎます。
しかし、水圧と温度に注意が必要です。例えばまずシャワーの水圧を回避するため、シャンプーボウルにぬるめのお湯をたっぷりと溜め、そこに髪を泳がせる感じで洗います。
その後お湯を抜き、酸リンスなどの処理剤で髪を引き締め水圧に耐えやすい状態にしてから、弱めの水圧・ぬるめのシャワーでキレイにすすいでいきます。
酸リンスについては以前のコラム、サロンカラーよりホームカラーが傷むのは本当か「事後処理の重要性①アルカリの除去」を参考にしてください。
アルカリ成分を中和するアイテム
マテリケア【オキシバッファー】
セ・トゥ【プラスサンα】
過還元した髪は、ものすごくデリケートな状態なので、水圧やお湯の温度、その後のタオルドライ、コーミングのテンション、ドライヤーやアイロンの温度・テンションなどにも充分に気を配ります。
また、アイロン前のドライ時に髪がチリつく(いわゆるビビる)ことで、そこで過還元したことに気付くこともあるでしょう。
この対応も複雑で難しいのですが、先ほどの「還元不足時の応急処置の例」が役立つことがあります。
還元不足時よりもテンションと温度を穏やかに行うことが大切です。
寒い時期の還元にご注意を
最後に、これからの寒い時期、1剤も冷たくなりませんか?
冷えると作用しにくくなるのでご注意ください(2剤も同様です)
例えば前回が8月で、次が12月に施術する場合、夏場と同じ感覚で施術していると、なんだかうまくいかないことがあるかもしれません。
対策として塗布後の加温または、薬剤を事前に温めるなどが思い浮かぶかと思いますが、
塗布後の加温は本来、認可された薬剤以外は禁止となっており、また薬剤を事前に温めると、容器の中で活性化してしまう可能性があります。
寒い時期は暑い時期よりも1剤をしっかり塗布したり、少し長く放置するなどの対応が良いかと思います。
今回は還元がテーマでしたが、今回お伝えしたこと以外にも、1剤の違い・塗布方法・既ストレート部への対応など、大切なことはまだたくさんありますが、こちらはまた別の機会にお伝えできればと思います。
次回は、縮毛矯正の重要な4つのポイント 第二部「酸化」をお伝えします。
酸化は2剤で行いますが、この時も重要なことがたくさんあります。
例えば、「2剤で起こるダメージ」や「酸化と髪の水分の関係」や「空気酸化について」などなど、
このような内容を見ていきたいと思います。
商品理論担当 桝田